豪華で贅を尽くしたブルジョワの館
もともと中世の要塞であった場所を16世紀の初め、王の財政顧問官であるFnçois Briçonnet,(フランソワ・ブリソネット)が 豪華な別荘としてルネッサンス様式に建てたのがカンデ城。その後 19世紀の中頃、キューバ出身でイギリスとスペインの貴族であるSantiago Drake del Castillo(サンティアーゴ・ドラケ・デル・カスティーロ)が、トゥレ−ヌ地方の有名な建築家に依頼し当時流行だったネオ・ゴチック様式を取り入れて改築し、所有地も3倍に広げました。
1927年からは仏米ハーフで億万長者の Charles Bedaux(シャルル・ブドー) が 城の中に水道設備や当時フランスでは唯一の整備された電話線を引いたり、すべての洗面所をモザイクとガラス張りにして近代的な内装にしました。また非常に高価なオルガンを新しく設置した書斎に置くなど、彼の巨額の富に任せた設備が整えられました。
「王冠を賭けた恋」の舞台となった場所
カンデ城の逸話として最も有名なのは、1937年6月3日、le duc de Windsor(ウインザ−公-元Edward VIIIエドワード8世)がアメリカ人の Wallis Simpson(ウォーリス・シンプソン)と結婚し、ハネムーンを過ごした場所としてでしょう。
1936年1月のジョージ5世の死後、後を継いだエドワード8世は1931年頃からウォーリス・シンプソンとの交際を始めるが、ウォリスが離婚歴を持ち、また交際当時には再婚していたにも関わらずエドワード8世が無理に離婚させて妃として迎え入れようとしたことは英国国教会首長も兼ねる連合王国国王になる者に許されることではなく、連合王国の上から下までの人々のほとんどがこの交際と将来行われる成婚に反発しました。
さらにエドワード8世はアドルフ・ヒトラーやベニート・ムッソリーニらファシズムに親近感があるような態度をとったこともあり、首相スタンリー・ボールドウィンはエドワード8世に退位を迫り、エドワード8世は1936年12月11日、「・・・私は国王として重大な責任と義務を果たすことが到底不可能である。愛する女性の助けと支えなしでは・・・」という言葉で名高い退位文書をBBCを通じて読み上げ退位。そしてウインザー公となり、誰にも干渉されることのない、フランスのカンデ城で結婚式をおこなったのです。この一連の出来事を「王冠を捨てた」または「王冠を賭けた恋」と言われたのです。
The Love of a King (The Love of a King)