フランソワ・ラブレー博物館(ドゥヴィニエーの家)-Musee Rablais -Maison de La Deviniere
37500 SeuillyTél : 02 47 95 89 37
フランソワ・ラブレーが幼少期を過ごした家
1485年頃、シノンに近い村で、新興ブルジョワ地主の末子として生まれ、フランス・ルネッサンス期の人文主義学者(ヒューマニスト)、作家として有名なフランソワ・ラブレーが幼少期に住んでいた15,16世紀時代のルネッサンス式の家で、1930年から国の歴史的建造物とされています。
実際にラブレーが使用していた寝室や書斎、直筆で書かれた原本、古い時代の刊行作品、(美術館から寄贈された)、などは他では見ることができないものばかりが見ることができ、 家の中からは、「ガルガンチュア」の中で「ピクロコール戦争」の戦場となった地の、今日の風景を眺めることも出来ますので、作品の中の描写と比べてみるのも面白いでしょう。
マティスのデッサン画や機織り機、広い洞窟式住居なども見所
著書の原本などが収められたケースや当時のデッサン画などの中に、マティスによって描かれたラブレーの肖像デッサン画も見ることができ、その他当時の機織り機やワインカーブと共に併設された洞窟の中の住居など、見どころが盛りだくさんです。
特に洞窟式住居は地下にも関わらず2階式になっており、中世時代に使用されていたワインを製造する機械や家具などがそのまま残されています。
「ガルガンチュアとパンタグリュエル」
もっとも有名な長編「ガルガンチュア・パンタグリュエル物語」は全5巻からなり、豊富な語彙と巧みな表現で散文作品の傑作と称されています。(「第五の書」は贋作の疑いがあり。)
1532年「第二之書」出版、当時のあらゆる公式的権威を嘲弄し、中世社会の硬直した価値観を笑い飛ばし、大人気を博します。しかし、ソルボンヌ神学部、パリ高等法院は、この作品を異端であると決め付け、著作は禁書目録に登録され、著者ラブレーは亡命を余儀無くされました。
ガルガンチュアは、パンタグリュエルの父親であり、『第一之書』はガルガンチュアの生誕とその半生を描いています。中世ヨーロッパではガルガンチュア巨人伝説なる伝承物語が既に存在しており、ラブレーは当時誰でも知っている伝承物語の登場人物を利用して、再構成した物語を創作したと考えて良いでしょう。
ラブレーのレシピを再現「Hypocras」
フランソワ・ラブレーは文学者としてだけではなく、修道士となった後、医学部で得業士資格を獲得。大学で初めてヒポクラテスの医書をギリシア語原典によって講じて大成功を収めています。
彼の著書の中にもしばしば登場する 「Hypocras」は、中世時代、一般によく飲まれていた飲み物で、ワインにはちみつやシナモン、ショウガなどのスパイス
を混ぜて作ったもの。現代のフランス人にさえもあまり知られていないこの飲み物は、ラブレーファンの要望により、ラブレーのレシピに忠実に再現してつくられたものだそう。
この飲み物は売店でも売られていますので、ラブレーの世界を味わってみてはいかが。